Cared.jpとは? What is the Cared.jp?

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Cared.jpは、2013年から大阪大学未来共生(RESPECT)塚本研究室でインドネシア・サテライト・オフィスのあるガジャマダ大学(UGM)国際関係学科と連携し、ジョグジャカルタ州の防災対策のためにそのオリジナルなものが開発されました。元は、多言語対応・広域災害情報予測システム(CARED)とし、人的センサー(Human Censer)として、被災者から直接スマートフォン上のアプリから簡単な状況を質問に答えることによって、質問毎に被災現場の状況を被災のひどい順からの3色で地図上に●(点)で表し、被災現場の状況を視覚化するものである。また、地方自治体ごとにデータ化し、被災地域の状況を予測し、緊急支援計画を立てることができるシステムである。このシステムは、インドネシア国家防災庁(BNPB)などと連携し、実証実験を行っている。今回、このオリジナルをベースに日本の留学生などのグローバル対策、インバウンド問題に対応できるようにアップグレードし、"Cared.jp"という新しいアプリを開発した。現在、来日している留学生、技能実習生、訪日観光客などを対象に、日本語、英語、スペイン語、ポルトガル語、中国語、韓国語、ベトナム語、インドネシア語の8か国語で使用可能であるが、もう数言語使用可能準備中である。下記が主な機能である。

1.Cared.jpの基本的な特徴

  1. 災害時にでも安定した情報を届けることのできるクラウド化した。またオフモードで操作することができる。
  2. 安否確認機能:安否情報を複数のメールアドレス、SMS、Facebook、LINEに送ることができ、同時に組織として被災状況の分析をする場合、本部でも全体的なリスク・データの分析をPC上の管理者画面でも自動的に分析することができる。
  3. PC上の管理者画面のデータリストから、送信者にメール、SMS、Facebook、LINEなどでコンタクトすることができ、安否内容の詳細を確認することができる。来年初めには、LINEやWechatなどでコミュニケーションすることができる。
  4. 被災者のスマートフォンから人的センサーとして情報を収集し、その分析結果を視覚化し、地図上とデータ、グラフで統計データを提供する。
  5. 自治体を越えた、広域な災害情報を収集し、広域な防災対策、災害支援対策が立てられる。「災害報告」の機能で、現場からの3段階でリスクの度合いを判定し報告することができる。
  6. 被災後、毎週、時系列に被災者状況を入手、また分析して、支援活動の進捗状況を理解できる。
  7. 在日外国人の防災対策として、大使館・領事館などと連携し、国籍毎に被災者分析が可能である。
  8. 外国人観光客の日本滞在中の災害ガイドラインとして使用できる。各災害における一般的なガイドラインを現在、13か国語(インドネシア語、ジャワ語、英語、日本語、韓国語、中国語、フランス語、ドイツ語、タイ語、ポルトガル語、スペイン語、ベトナム語、タガログ語)で読めるが、2020年の東京オリンピックの年までに20か国語ぐらいにしたい。
  9. 新型インフルエンザ(強毒性)などの感染症対策として用いることができる。自治体ごとに、時系列に新型インフルなどの罹患率を予測し、自治体独自に、その感染のピークなど図り、対策を取ることができる。
  10. 家畜の感染症、口蹄疫、雪害、登山の入山管理などに使用することができる。
  11. 安否確認システムの機能から安否状況を色別(赤〇:安全でない、緑〇:安全)で安否情報を複数のメールアドレス、SMSに送ることが可能である。
  12. もし、サーバのデータがと届かない地域で安否情報を報告する場合、一旦保存され、サーバの利用が可能になる地域に移動した時に、自動的に情報は送信される。
  13. テロ対策、突然な犯罪、災害に有効なシステム:本アプリには、通常の安否確認機能に加えて「パニックボタン」機能も特別に備わっており、使用者が、万が一にも突発的なテロや事件、災害などに巻き込まれたとき、赤い非常用のボタンを2度押しするだけで、世界各地から安否状況をメール、SMS、Facebook、LINEなどに音声や周辺の音を10秒間録音し、自動送信してくれる。受け手は、アプリ使用者の声や音と位置情報にニュース速報などを突き合わせることで本人の置かれた状況を察知する手がかりを得ることができる。こうした緊急の連絡内容を大使館や領事館、保険会社、危機管理会社などが分析することよって、いち早く救援のための効果的な対応を準備することができるようになるだろう。
  14. 日本から多くの留学生が海外に羽ばたいていく中で、このアプリがあれば家族や友人、出身学校などに自身の安全状況を様々な方法で複数の方々にお伝えすることができる。また、インバウンドとして海外から日本にやってくる留学生、技能実習生たちにとっては、母国語で本国の家族に安否の連絡をするシステムとして用いることも可能である。企業と連携し、日本国内の災害などの情報をできるだけ早く、多言語(15言語目標)で提供することができる。今後、LINEだけでなく、WeChatやカカオトークなど海外で多用されているコミュニケーション・アプリからでもアクセスできるように準備している。日本では、全国52万か所にある土砂災害の可能性のある地域に住む住民から、山側からの湧き水や山鳴りなどのような前兆を察知した時の報告ツールとして用いることができる。

2.このシステムの応用の可能性

  1. 使用者が「ヒューマンセンサー」となり、被災地の状況の分布も俯瞰:このシステムを通じて得られた安否情報を集約すると、各自治体や事業者、大学・教育機関ごとに地震や津波などの被災地における家屋の破壊状況や人々の避難状況を俯瞰することも可能となる。このように、アプリの利用者一人ひとりが「ヒューマンセンサー」として協力してもらうことができれば、自治体や組織ごとに人々の被災状況のアセスメントが可能となり、救援活動に向けた貴重な情報を得ることができるようになる。
  2. 本アプリのヒューマンセンサーとしての機能については、現在、インドネシアにおいて、17万人もの犠牲を出したアチェ州、地震や火山噴火の影響を受けたジョグジャカルタ州などで州政府の防災局、教育機関などの協力を得た実証実験を行っている。どの地域でも過去の経験から災害時にいかに情報を収集するかが大きな課題で、行政スタッフだけでなく、一般市民、大学生などの若者に現場の情報を、アプリを通して災害情報をヒューマンセンサーとして送信することにより、防災庁で分析できる仕組みを構築することが可能である。また、今回、このアプリに災害時のトリアージの4段階判定情報も送ることが可能になり、医療関係者がどの地域にどのような患者がいるかを患者が病院に運ばれる前に知ることができる。
  3. 学校や団体・企業の安否確認システムとして用いることができる。基本システムと同様に地図上で学生、職員の災害時の安否確認状況、災害時の状況質問毎に基本的な広域情報と重ねて、色を変えて表示することができ、大きな被害を受けた地域に学生や職員がどのぐらい巻き込まれていて、対応をしなければならないかを知ることができる。また、学校・団体・企業の場合、個人データの管理は、各団体でブロックし、独自に管理することができる。PCによる管理者画面からは、被災者に直接コンタクトができる。大学から海外へでる留学生、海外の大学から国内に来る留学生の安否確認システムとしても使用することができる。
  4. 世界各地への観光客・出張者/国内の外国人の安否確認システムとして用いることができる。このシステムはグローバル対応で、世界各地で用いることが可能である。世界各国の国々の被災状況を知ることができる。上記と同じ使用方法で、世界各地から観光客/出張者の安否確認としても分析することが可能である。
  5. 上記と同様に、世界各国で、現地の住民の被災状況の予測システムとして用いることが可能であり、また、日本国内の在留外国人、訪日観光客対応の災害情報システムとして情報を入手、分析して対応することが可能である。国籍検索で安否確認情報をリストにして大使館に送信できる。
  6. 感染症対策:新型インフルエンザの強毒性の場合の対応システムとして用いることができる。H5N1などのような強毒性の新型インフルエンザの場合、病院にいけないで自宅待機が原則となる。その場合、38℃以上の熱を出している患者を赤37℃台の熱を出している患者を黄36℃台の方を緑として地図上に表記する。また自治体ごとに毎週その割合を分析して表記し、罹患率の予測をすることができる。自治体、または保健所が、住民とのネットワークを築き、発熱や咳、下痢などの情報を得ることにより、登録してくれた住民からの感染状況を理解することができる。新型インフルエンザなどの罹患状況を感染研が分析し、自治体に提供しているが、感染研の情報と合わせて用いることによって、患者の動静を自治体独自に、細かな動きをキャッチし、住民とのコミュニケーションをすることができ、罹患率、また時系列的な分析をすることが可能である。
    *強毒性の新型インフルエンザの場合、基本的に患者は自宅待機が原則であるが、このシステムであれば、変わりなく、情報を収集することができる。
  7. 登録時に、障害者、高齢者、妊婦、その他要配慮の必要のある人の情報を入れてもらうことができ、災害時の情報でどこにどのような配慮の必要な被災者がいるのかも分析できる。
  8. NGOなどで、国内外の災害後の被災調査、アセスメントのツールとしても使える。また、複数のプロジェクト地域や難民キャンプなどを一元化して管理できるシステムを構築することができる。 このシステムのオリジナルなものは、現在、インドネシア・アチェ州、ジョグジャカルタ州で実証実験を実施している。 2017年には、トリアージでも使えるように災害報告の項目を増やした。日本では、南海トラフ、東海地震、首都直下型地震などが叫ばれる中、日本の弱点として、災害の広域対策、避難所以外からの情報の収集方法、またはインバウンド、在留の外国の方々、観光客の方々への様々な言語で、災害情報を伝えていけるシステムが必要であると感じている。この点で、産学連携でこれからもさらなる研究開発していきたいと願っている。

研究の背景:
外国人増加にみられる対策の急務

厚生労働省は1月26日、外国人労働者数が127万8670人に達し、外国人を雇っている事業所数が19万4595か所(2017年10月末時点)となったと報告している。いずれも過去最高を更新したと発表した。背景には、高度人材や留学生の受入れ、技能実習制度の活用がある。
国籍別にみると、中国が37万2263人で最も多く、外国人労働者全体の29.1%を占めている。次いで、ベトナム24万259人、フィリピン14万6798人、ブラジル11万7299人の順となっている。特にベトナムについては、前年同期と比べ39.7%も増加している。
中国籍が最も多く約3割を占める。多くは「身分に基づく在留資格」で就労、在留資格別では、「永住者」「日本人の配偶者等」などが含まれる「身分に基づく在留資格」が35.9%。次いで、「資格外活動(留学)」を含む「資格外活動」が23.2%、「技能実習」が20.2%、「専門的・技術的分野の在留資格」が18.6%となっている。

上記のように年々在留外国人数は増加傾向にあり、また訪日外国人もすでに年間2400万人を超えている。しかし、市区町村レベルでの全体的な対応はまだ十分とは言えず、インバウンド対策への経費は十分確保することができていないのが現実である。今後、様々な防災に関する対応において、「多言語対応」は基本的原則になっていかなければならないと考えている。しかし、各自治体ごとにすべての対応ができる状態ではなく、緊急時、また災害時の情報の提供の仕方を各自治体ごとに対応するのではなく、共通項目はできるだけ同じ文章で提供できるようにしていくような調整が必要であると考えており、当センターでは、自治体等からの要請があれば、多言語による共通のプラットフォーム作りを支援する用意がある。

本研究成果が社会に与える影響
(本研究成果の意義)

フィールドにおける危機管理に関して、原版もリスク情報がいち早く必要なところに届けられるか必要である。このCared.jpのデータはクラウド化しているが、辺鄙なところなどすべての地域でアクセスがあるとは限らないが、オフモードで操作でき、ネットのアクセスがない地域でも、そのデータが保存され、ネットのある地域に動いたときに、自動的に配信されるようになっている。

また、日本においては、観光客や留学生、技能実習生などが災害後に多言語(目標は15言語)で災害情報を提供することができるシステムが組み込まれている。ワンダウンロード500円の費用の一部10%は、このインバウンド対策のために用いていきたいと考えている。

大阪大学では熊本地震の時に12言語で災害所のニュースや自治体、弁護士の外国人相談の資料などを翻訳した経験がある。熊本地震では、全世界から90名弱の翻訳ボランティアが協力してくれた。その3分の2はネイティブの方々で、現在日本で学ぶ留学生や過去に日本で学んだ留学生たちが協力してくれた。

今後、南海トラフ巨大地震が発生したような場合、きわめて広い範囲で多言語での災害情報の提供や避難誘導や避難所支援が必要であり、ボランティアだけでは十分な対応ができなくなるので、コールセンターなどを持つ企業と連携していけるように準備していきたいと願っている。

さらに、日本においては、急増傾向にあるインバウンドの外国人観光客に向けた対応も待ったなしで必要になる。自治体や民間の観光地において、訪日観光客に対する防災対策は十分であろうか?一番の問題は災害時の情報や得られないということである。Wi-Fiをフリーにするような企業とも連携し、その設定の中に多言語災害ニュースなども流せるようにできないか検討を要する。とにかく、災害時に訪日観光客に多言語で災害情報を提供するシステムを構築していきたいと思う。今回のアプリもそのシステムの一環として考えている。

このアプリはPCにおいて管理者画面を設定することができる。この画面で国籍検索が可能となり、例えば火山が噴火したような場合、このアプリをセットしておいてもらい、安否情報を発信してもらえれば、どこの国籍の方々がその火山のどのあたりにいるかを知ることができ、そのデータをエクセルに変換させて各国領事館に送信することができる。

特記事項

大阪大学大学院国際公共政策研究科(OSIPP)のグローバル・リスク・ソリューションズ・センター(GRSC)では、昨年から泉佐野市と連携して、関西空港周辺、特にりんくうタウン周辺の多言語防災対策を企業連携で進めている。最初、自治体ではりんくうタウン周辺の津波予測が3.8mで、その周辺の海抜が5mであることから、問題ない地域と考えていたが、東日本大震災の経験を考えると本当に大丈夫であるのかと問いかけて、対応を行うことになった。泉佐野は、日本で7番目に昼間の外国人人口が多く、年間100万人を超える訪日観光客がこの地域に集結する。しかし、その地域の多言語防災対策はガイドラインの多言語対応だけで、観光客にまではあまり伝わっていない。周辺ホテルでの聞き取り調査でも多くのホテルはその存在を知らないのが現実であった。

市役所の危機管理室との調整でりんくうタウン駅周辺に一時避難所を準備して、その後、市のアレンジでバスなどで市役所近くの公立高校に移動させ、多言語避難所を設定し、高校生たちの協力を得て災害時の多言語支援を実施するマニュアルを準備している。(多言語避難所に関しては、このHPの「多文化防災」のページ参照)

また、今回のアプリには、災害時弱者情報を登録時に要配慮者に関する質問に答えることにより、安否確認をする場合にどのような要配慮が必要なのかを分析し、対応することができる。
現在、このアプリを常時使えるように大学の講義の出席などが取れないか検討している。また、夏ごろには、日本に来ている留学生や技能実習生のために多言語で日本生活におけるリスクや生活情報のEラーニング・プログラムを導入することも検討している。日本の生活におけるノウハウや災害や緊急時の対応が読み物といくつかの設問に答える形式で学べるものを準備している。

塚本俊也(大阪大学大学院国際公共政策研究科グローバル・リスク・ソリューションズ・センター(GRSC)・副センター長)

この研究開発についての取材については、開発責任者の塚本までアポをお取りください。

06-6850-6656  
080-3019-3853  
tsukamoto@osipp.osaka-u.ac.jp

インドネシアにおける集中講義

塚本は、客員教授として、毎年2月にインドネシアのガジャマダ大学大学院国際関係学研究科の人道支援コースでDisaster Management & Humanitarian Actionsという2週間の集中講義を行っている。参加希望者は塚本までご連絡ください。日本から10名前後の参加が可能である。大学院プログラムであるが、大学生でも参加可能である。要英語力

大学を多言語避難所に!

また、大学で多言語避難所として地域にお住いの外国人、またはインバウンド対策として訪日外国人の一時避難所としてキャンパスの一部を開放していただける大学はないでしょうか?地域の国際交流協会などと連携して対応することが可能です。外国人人口が増加傾向の中で、大学の役割は大きい、また、日本の大学で留学生への英語による防災対策の集中講義も行っている。日本の大学に来ている留学生たちに日本の防災対策を学んでもらい、また多言語避難所でのボランティア活動、また災害の多言語情報の翻訳などに協力してもらう体制が今後地域社会で必要になっていくと思われる。
今回、この取り組みで、全国的な多言語防災ネットワークができないかと期待している。

大阪大学大学院国際公共政策研究科
グローバル・リスク・ソリューションズ・センター

〒560-0043 大阪府豊中市待兼山町1-2
文理融合型研究棟603 
MOBILE:080-3019-3853 (塚本)
MAIL:tsukamoto@osipp.osaka-u.ac.jp

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